完成までを追え!緑を出したいリグナムバイタ編



実は今年の初めごろ「リグナムバイタ」が欲しい。

と、お客様から問い合わせがありました。


普段から問い合わせが来るような樹種ではないのと、貴重な木なので、
弊社でも在庫として持っているのは4枚でした。

お電話でやり取りをし、現状写真などメールでお送りしたのですが、見に行きたい!とのことで、
長野のお客様だったのですが、「車で3時間なので見に行きます」とわざわざ3時間かけてご来店いただくことになりました。

リグナムバイタ


世界一重い木として知られるリグナムバイタは、木材は重硬で、耐久性に優れた木材です。
成長が遅く、大きく太ることがないため、印鑑や数珠などの小物に使用されたり、その硬さと耐久性から昔は船舶のスクリューの軸として使われていました

リグナムバイタのこの緑色を出したい。




後日、お客様にご来店いただき、在庫としてすぐに見ることのできる3枚をご覧いただきました。
一番状態のいい板に割とすぐに決めていただいたのですが…

「納期よりもなによりも、緑色ができるだけでるようにしてほしい」

と頼まれました。
もとよりリグナムバイタは濃緑色をしているのですが、それをなんとかして緑をもっと出しほしいとのことでした。

こんなご要望を頂いたのは初めてでしたので、必ずできる!
とはもちろん言い切れませんが、
できるだけ試せることは試してみます!

とお答えし、ご購入まで進みました。

ご購入いただいたリグナムバイタ




そして、弊社初(多分)リグナムバイタとの加工が始まりました。

驚き!乾燥したら樹液がでてきた?!




材自体はだいぶ前に仕入れたものなのですが、念のため、乾燥と調湿のためほかの木材と一緒に1週間ほど乾燥機にいれました。














すると、どうでしょう…

かえってきてびっくり。



真っ黒です。



ただほかの木材と一緒に乾燥に入れただけで特別なにかをしたわけではありません。
こんなこと今までになかったので、もちろん関わった人みんなが驚きを隠せません。
聞いたところによるとおそらく樹液の可能性が高いのではないかという結論になりました。


そして、
リグナムバイタの下にあった売約済みのサクラには、ぽたぽたと樹液の跡が…

この樹液は見た目はこの通り真っ黒で、艶があり、触るとプラスチックのような感じです。
とりあえず、リグナムバイタは加工にだし、このサクラについた樹液をとることにしました。

まるで宝石のような美しい緑色





売れている商品なので、乾燥から出たらお客様に出荷する予定だったサクラの樹液をとると、












なんと、緑色!










お分かりでしょうか。
このきれいな緑色。
やっぱりリグナムバイタの樹液だったんだ!
と思わせるような本当にきれいな緑色です!!


あまりの綺麗さと、捨ててしまうのはもったいない!!
と、思った筆者は、これを必死で集めました。(笑)


宝石や鉱物のようにもみえますが、樹液です。


これをちまちまと必死に集めていると、いろんな社員が寄ってきて、

「触らないほうがいいんじゃない?」
「こんな色だと、毒かもよ?」
「そんなの集めてどうするの?」


などなど、結構たくさんの人に言われました(笑)


あまりにも言われるので、少し不安になって調べてみることに。

リグナムバイタはラテン語で「生命の木」
その由縁は樹液が万病(咳や関節炎との記述もあり)に効く薬



との記載が!

万病に効く。
なんて、本当かどうかわからないですが、こんな巡りあわせはないので、とりあえず気にしずに拾い続けました(笑)

加工と色出しは難航




さて、リグナムバイタのほうはといえば、色出しに難航をしていました。

もちろん、加工するのも硬い木なので、大変ではあるのですが、ひと削りしてしまうと、色が茶色になってしまいます。

空気に触れると少しずつ緑色を帯びてくるのですが、あまりに時間を置きすぎるときれいに仕上げてもまた削らないと仕上げができないというジレンマに陥っていたのです。


サンダーで仕上げて、時間をおき、色をみながらゆっくりと進めていきました。

小口は樹液で濃緑色に

完成!




加工に入り3カ月がたちました。

最初のお話を頂いてから5カ月ほどたち、今までにないスケールで仕上げをして、最終的には下のような写真のような色に落ち着きました。

場所の関係で少し現物の色とは違っていますが、耳側はリグナムバイタの緑色が出せたように思います。


お客様はこれをご自宅のバーのカウンターにされたのだとか!
この板でおいしいお酒を飲んでいただければと思います♪