一枚板の命ともいわれる「耳」

こんにちは。

今日は一枚板の「耳」について少し書いていきたいと思います。

一枚板の耳といわれてもあまり聞き馴染みがないかもしれませんね。
木は幹の外側である樹皮の内側に、細胞分裂を繰り返して成長していく「形成層」、水分・養分を通す「辺材(白太)」を持っています。

一枚板における「耳」とは、まさにこの形成層や辺材(白太)の部分を指しています。

下の写真の赤く囲った部分が、その「耳」にあたります。

この耳は既製品で作られるテーブルにはまずついていることはなく、天然木だからこそのカーブやうねりが出る個性的な部分でもあります。


耳は板によってその形は様々です。

下は少し変わったものを集めました。

波のようにうねっているものから、耳の角度が鋭角だったり浅かったりと幅が違うものなど、木が持っている本来の形に合わせて綺麗に白太が入ることもあれば、その白太の深さも様々です。



また、樹種によって、「白太が目立つ樹種」と「目立たない樹種」もあります。

下記の、写真上部3つは左から、パープルハート、ゼブラウッド、スギ。
写真下部3つは左から、トチ、ヒバ、タモ です。

見てもらうと一目瞭然かと思うのですが、上部は白太がはっきりと目立つ樹種。
下部は比較的目立ちにくい樹種です。
基本的に白太はどの木も白系統の色をしていますが、中心部の色や柄とのコントラストによって見え方が大きく変わります。

トチ、ヒバ、タモのようないわゆる「白木」と呼ばれる樹種は、中心の色が耳の色に近く目立ちにくいものも、白太がないわけではありません。
板の個体差によっては、はっきりと分かるものから、どこが白太か分からないほど馴染んでいるものまで本当に様々です。

また白木はその差が明瞭でないことから、作り耳といって耳風に仕上げることも可能です。

過去にトチでL字のカウンターを納品させて頂いたことがあるのですが、小口の部分も耳風に仕上げました。

また、パープルハートの様に紫色を持つ珍しい樹種は、耳があることで着色されていないことへの証明にもなります。

ここまでで既製品では味わえない、耳が独特で面白い個性があることが分かって頂けたのではないでしょうか。
しかし、この耳はとても魅力的であると同時に、非常にデリケートな部分でもあります。

一番外側にあるため傷つきやすい部分なのです。

伐倒した際に石が当たり傷がついてしまったり、運搬時に傷がつくことも。
特に海を越えて入ってくるような丸太は運ばれる過程で傷つき、耳が欠けたり、取れてしまうこともあります。

さらに、耳の部分は中心の赤身に比べて柔らかく、虫の餌場になりやすいという側面もあります。
早めに適切な防虫処理をしなければ虫食いの原因になってしまうということもあります。

そのため、耳が綺麗な状態で残っているということは、実はそれだけで非常に価値の高いことなんです。

一枚板の表情を決定づけ、世に一つだけの個性を生んでくれる「耳」
手では作り出すことの難しい自然が育んだ造形美は、まさに一枚板たる魅力がここに詰まっていると言えます。

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